天然素材・ウールが生まれるケニア

天然素材・ウールが生まれるケニア

Pamoja na Africaでは、ケニアで育った羊の毛(羊毛)を使った商品を作っています。今日はケニアの羊毛について紹介したいと思います。

ケニアの羊毛の特徴

アフリカ・赤道直下のケニアでは、植民地時代に持ち込まれた羊を中心として、羊毛産業が栄えています。ケニアは、標高が高く年中暑すぎず、寒すぎず、過ごしやすい国です。羊産業が盛んなケニアの中央部では標高2000m超えています。

Pamoja na Africaが購入する羊毛は、ケニアでも羊毛産業が一番有名であるンジャビニ羊毛協会が管理する農家が管理する羊毛を中心に使用しています。より毛足が長く、質の高い羊毛を育てるためには、羊を育てる環境や管理の技術が必要になります。

大草原に自由に放たれた羊たち

羊を育てるには大量の牧草が必要になります。農家は広大な敷地を持ち、それを6つに分割してます。羊が一通り草を食べ終わったら、他の区画に移動します。草が伸びるための他の区画は、羊を入れることができません。羊の数が多ければ多いほど、土地や水が必要になります。狭い敷地では必要な牧草を確保できません。また、首輪をつけて羊をつないでいる農家もいますが、ンジャビニ羊毛協会が管理する農家には、そのような管理をしている農家はいません。羊たちが健康的に生活できる環境があることもよい羊毛を収穫できる秘訣になっています。羊毛は年1回または2回収穫することができます。

コリデール種のウールは、食肉用の羊・リンコルン種と、繊維用の羊・メリノ種を交配して作られました。  コリデール種の羊は食肉にも繊維にもなることから、多く飼育されています。 そのため、比較的安価に手に入るのが利点です。メリノのよりもコシがあり、しっかりした毛並みのため、絨毯やマフラー等のインテリアに向いていると言われています。また、天然のざっくりとした風合いを持つケニアのコリデールは、アフリカの力強さを感じつつも、より羊毛が天然のものだと感じられる色合いや肌ざわりをしています。

そのため、Zooz Africaでは、ケニアのコリデールの特徴を使い、ルームシューズを作っています。ルームシューズは体に触れるので、柔らかくふんわりした風合いを楽しめると同時に、ハリとコシがあるケニアの羊毛を使ってシューズを使うことで、とてもきれいな形を産みだすとともに、丈夫で強度があります。

ケニアと羊毛の歴史

羊毛が私たちの生活に使われるようになったのは紀元前6000年とも言われています。生きていくために、羊毛は洋服や絨毯、ブランケット等々生活にある身の回りのものに使用されてきました。

年間10,000トン以上の羊毛が輸出されています(注)。


植民地時代の始まり

  • 1900年代初期: イギリスの植民地として、ケニアは羊の飼育を奨励されました。主にイギリスから移住した白人農家によって、羊の飼育が行われ始めました。
  • 地元の農家によると羊の多くがオーストラリアから来たと主張する人もいるが、はっきりしたことはわかっていません。

独立前後の発展

  • 1950年代-1960年代: ケニアの独立(1963年)前後に、羊毛産業は一部の大規模農場で発展しました。しかし、独立後も多くの羊毛は地元消費にとどまり、輸出は限定的でした。

近代化と政府の支援

  • 1970年代-1980年代: 政府は農業政策の一環として羊毛産業を支援しました。改良された品種の導入や、羊毛の質を向上させるための技術指導が行われました。

経済改革と自由化

  • 1990年代: ケニアの経済自由化政策により、農業セクター全体で民間投資が奨励されました。この時期に、羊毛の品質向上と市場拡大が図られました。しかし、一部の地域では衰退がはじまります。
  • 1990年代初頭から中頃にかけて、支援施設の崩壊により、主に羊の飼育を中心とした家畜農業から作物栽培への大きな転換が起こりました。しかし、高地での作物栽培は霜の頻発に対して脆弱であり、リスクが高いのが現状です。一方で、家畜農業はリスクが少なく、霜の頻発や低温の影響を受けません。しかし、長期間にわたる家畜製品の市場パフォーマンスの低迷は、農家を落胆させてきました。市場パフォーマンスは徐々に改善しているものの、農場の家畜の質は長期間にわたり悪化し続けています。その主な原因は、管理不備、羊の近親交配、駆虫、そして劣悪な飼育環境にあります。

現代の状況

  • 2000年代以降: 羊毛産業は、特に手工芸品や伝統的な製品としての需要が高まりました。近年では、環境に優しい素材としての羊毛の需要が増加し、ケニアの羊毛は国内外で高く評価されています。

チャレンジと未来

ケニアの羊毛産業は、多くの可能性と課題を抱えています。主な課題としては以下の点が挙げられます。

  • 品質管理: 羊毛の品質向上が必要です。
  • 市場開拓: 国内外の市場での認知度向上。
  • 持続可能性: 環境に配慮した飼育方法の普及。

一方で、羊毛産業は特にケニアの農村地域での雇用創出や経済発展に寄与しており、今後も成長が期待されています。

エシカル素材として今後

羊毛はエシカル素材として今後も大いに活躍が期待されています。その理由はさまざまです。

1. 持続可能性

羊毛は再生可能で生分解性があり、環境への負担が少ない素材です。羊の毛を刈ることで得られるため、動物を傷つけずに収穫できる点がエシカルです。

羊の毛は自然抜けないため、人間の手によって羊毛を刈り取る作業が必ず必要です。

2. 耐久性と多機能性

羊毛は耐久性に優れ、長期間使用できることから、適切なメンテナンスによって、長年愛用することができます。安いものを大量消費するライフスタイルの脱却のヒントになればと思います。

また、羊毛は本当に優れた天然素材です。保温性、吸湿性、防臭性などの機能があり、多用途に使用できます。

洗濯もできます。長く使うために、手洗い、アイロンがけ、毛玉のカットをして頂き、時間と経過とともに沢山の愛情を育てて下さい。

3. 地域社会への貢献

特に発展途上国や農村部では、羊毛の生産と加工が地域経済の活性化や雇用創出に寄与しています。Pamoja na Africaは、マチャコス県のお母さんたちに雇用を生み出すだけでなく、購入しているンジャビニ羊毛協会を通して、ニャフルル県の皆さんのお仕事を作り出しています。新商品の開発や、品質についての情報交換を行うことで、自分たちの商品の質をあげていく努力を双方でしています。

4. エシカルファッションの需要増加

環境配慮や動物福祉に対する意識の高まりとともに、エシカルファッションへの需要が増えています。羊毛製品は、これらの価値観と調和しており、ラグジュアリー素材としても人気があります。

合成素材であるアクリル、ポリエステル、ナイロン、レーヨン等々のセーターが安価で身近ではありますが、耐久性が低く、機能性もあまりよくありません。羊毛は天然素材であることがから、値段が少し高いと感じるかもしれませんが、長年愛用できるアイテムとして、合成素材から、自然素材を使うことを考えてもよいと思います。

5. 課題と解決への取り組み

羊毛産業には近親交配や環境負荷などの課題もありますが、これを解決するための取り組みが進んでいます。例えば、放牧の管理を改善し、動物福祉に配慮した羊毛の生産を促進することで、よりエシカルな羊毛供給が実現しています。

Pamoja na Africaが購入する羊毛農家では基本的に巨大な敷地に手放牧が行われており、羊のストレスがかなり低いと言われています。一般的に仮定でお肉として食べられる羊の多くは、足に紐を繋いで自由がなく、怪我をするような状況で家畜されていることが多いですが、羊毛用の羊、特に私たちが購入する羊毛は、自然に近い環境で飼育されています。

私たちがやっていることが完全にエシカルでもないですし、環境への負担がないわけでもありません。私たち人間が生きている限り、自然環境へ何かしら負担を作ってしまいます。その中で、よりよい選択をしていきたいと思っています。

 

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